システム開発の業務委託の形態は2つ!業務委託契約書の作成ポイント
システム開発の業務委託の形態について!業務委託契約書の作成ポイントは?
システム開発の業務委託には「請負契約」と「準委任契約」があります。
こちらでは、請負契約と準委任契約の定義と特徴、準委任契約が適している開発の場面、業務委託契約書の作成ポイントについてご紹介します。
システム開発における請負契約と準委任契約の違い

請負契約の定義と特徴
請負契約は、民法の規定する「請負」にもとづく契約です。受注者は、発注者から仕事を請け負い、完成した「成果物」を納めることで契約が終了します。
請負契約の主な特徴は以下のとおりです。
- 成果物の完成が契約の本旨
- 受注者が作業を独立して行う
- 報酬は成果物の完成を前提とする
つまり、成果物さえ納められれば、受注者の作業工程や方法については問われません。したがって、発注者の指揮監督は及びません。
準委任契約の定義と特徴
準委任契約とは、仕事の完成ではなく仕事の遂行を約束する契約のことです。
具体的には、以下の2種類があります。
成果完成型
- 業務の履行により得られる“成果”に対して報酬を支払う約束
- 成果が得られない場合、受任者は報酬を受け取れない可能性
履行割合型
- 受任者が行った履行の"割合"に応じて報酬を支払う約束
- 成果が得られなくても、適切な事務処理があれば報酬請求可能
このように、準委任契約は仕事の完成ではなく事務処理行為を約束するため、請負契約と異なる特徴があります。
契約形態の使い分け方
システム開発の委託業務において、請負契約と準委任契約のどちらを選択するかは、開発の性質やプロジェクトの進め方によって使い分ける必要があります。
固定した要件のもと開発を進める場合は、請負契約が適しています。一方で要件定義が不確定で、開発途中の仕様変更が想定される場合は準委任契約を選択するメリットがあります。
例えば以下のようなケースでは、準委任契約が有利でしょう。
- 要件が確定しづらいケース
- アジャイル開発を行う場合
- AI開発など新しい技術を用いる場合
準委任契約には、報酬の対象が「労働時間」か「成果物の納品」かで異なる2種類があります。状況に応じて使い分けることで、柔軟な開発体制を構築できます。
システム開発における請負契約と準委任契約それぞれのメリット・デメリット
システム開発の契約でよくある「請負契約」と「準委任契約」の2種類は、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。どちらを選ぶかは、システム開発の内容や発注者・受注者の関係性によって変わってきます。
請負契約
メリット
デメリット
準委任契約
メリット
デメリット
請負契約と準委任契約はどちらがおすすめ?
- 完成品が明確で、変更が少ない場合→請負契約
- 開発途中で要件が変更になる可能性が高い場合→準委任契約
どちらを選ぶにしても、契約書にしっかりと内容を記載することが重要です。
請負契約が適している開発の場面
請負契約は「完成した成果物を納めること」を目的とした契約です。そのため、完成形がはっきり決まっているシステム開発に向いています。
具体的な事例として、次のようなケースが挙げられます。
定型業務を効率化するシステムを導入したい場合
例えば「毎日の売上記録を手書きではなくシステムで管理したい」という場合です。売上入力画面やレポート作成機能など、必要な機能が明確であり、実現したいゴールがはっきりしているため、完成品の納品を重視する請負契約が適しています。
過去に使用していたシステムをリニューアルしたい場合
例えば、小規模な事業者が「今まで使っていた在庫管理システムを新しくしたい」という場合です。この場合、すでに使用しているシステムがあるため、どのような機能が必要で、どのような画面や操作感を求めているのかが明確です。そのため、請負契約で完成品を納めてもらう形がスムーズに進みやすいでしょう。
これらのように、必要な機能や完成品がはっきりしている場合は、請負契約が適しています。この契約では、納品物が完成するまでの作業過程を気にする必要がなく、完成後にシステムが要件通り動いているか確認できるメリットがあります。
準委任契約が適している開発の場面

要件定義が不確定な場合
システム開発において、要件定義の段階では成果物がまだ具体的に想定できないことが多くあります。このような場合、請負契約ではなく準委任契約を選択するのが適切です。
要件定義とは、どのようなシステムを作るのかを決める最初の工程です。ここでは以下のようなことが行われます。
- ユーザーの要望を聞き取り
- 現行システムの課題を洗い出し
- 新システムに求められる機能を検討
このように要件定義段階では、開発する成果物の具体的な姿が決まっていないため、請負契約のように「結果の達成を約束する」ことは難しくなります。そのため準委任契約を選択し、ベンダーに「役務の実施」のみを求めるのが一般的です。
アジャイル開発を行う場合
アジャイル開発では、開発の過程で仕様変更が頻繁に発生することが前提とされています。そのため、請負契約よりも準委任契約のほうが柔軟に対応できるメリットがあります。
具体的には以下のようなメリットがあります。
- 仕様変更への柔軟な対応が可能
- 開発者の裁量が大きい
- 委託者による指示が可能
つまり、アジャイル開発の特性上、開発の過程で仕様変更などが発生しても、準委任契約なら柔軟に対応が可能となるのです。
一方、請負契約の場合は契約内容の変更が難しく、アジャイル開発に適さない側面があります。したがって、アジャイル開発を行う場合は準委任契約を選択することが賢明だといえるでしょう。
AI開発など新しい技術を用いる場合
AI開発などの新しい技術を用いた開発では、要件定義や開発過程での変更が多く、成果物のイメージをはっきりと事前に描くことが難しくなります。
そのため、準委任契約を用いることが適切と考えられています。請負契約の場合、仕様が変更になると追加費用の発生などトラブルに発展するおそれがあるためです。
準委任契約であれば、ベンダー側の作業工数に応じた報酬請求が可能です。発注者側も、技術の進展に合わせた仕様変更が柔軟に対応できるメリットがあります。
ただし、準委任契約の場合は、作業工数の管理が重要になります。双方で定期的な打ち合わせを行い、進捗状況を共有することが求められます。
業務委託契約書の作成ポイント
業務委託契約は、法律上はその内容によって「請負契約」「委任契約(準委任契約)」に該当します。業務委託契約がどれに該当するのかによって受託者の負う義務の性質が異なるため、契約書作成の際は注意が必要です。
責任範囲と損害賠償の規定確認
システム開発委託契約においては、受託者の責任範囲と損害賠償の規定を明確にすることが重要です。
例えば、次のような責任範囲や損害賠償規定を設けることで、トラブル時の対応がスムーズになります。
- 受託者の債務不履行責任の範囲を明確化
- 損害賠償額の上限設定
- 損害賠償請求期限の設定
- 間接損害の除外
このように、責任範囲を明確に定めることで、後からトラブルになるリスクを低減できます。
支払い条件と納期の明確化
支払い条件や納期については、業務委託契約書に必ず明記しておく必要があります。
支払い条件については、下記のような項目を記載しましょう。
- 支払い金額(税込か税別かの明記)
- 支払い時期(月次、完了時一括など)
- 支払い方法(振込、現金払いなど)
納期については、業務の完了時期や納品物の納期を明確に定めます。単発の業務委託なら一つの期日を記載し、継続的な業務委託なら毎月の納期を記載します。
業務内容によっては、検収期間や条件を設けることで、受注者側の作業時間の確保や品質確保につながります。
このように支払条件や納期を明確にしておくことで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
守秘義務と個人情報保護対策
開発委託先に機密情報や個人情報を渡す場合、契約書に守秘義務条項と個人情報保護対策を明記することが重要です。
守秘義務条項では、以下の点を盛り込むことをおすすめします。
- 秘密情報の定義と範囲の明確化
- 複製や持ち出し制限の規定
- 情報漏洩時の損害賠償規定
個人情報保護対策としては、以下の内容を規定しましょう。
- 個人情報の適切な管理・取り扱い方法
- 従業員への教育と運用ルールの徹底
- 情報漏洩時の対応と責任の所在
このように守秘義務と個人情報保護対策を明文化し、開発委託先との認識の統一を図ることが肝心です。
システム開発の業務委託:契約書作成時のチェックリスト
以下の項目を、契約書を作成する際のチェックリストとしてご活用ください。
業務内容と成果物の明確化
- 具体的な開発内容、納品物、品質基準を詳細に記載
- 曖昧な表現を避け、両者の認識を一致させる
責任範囲の明確化
- 委託者と受託者それぞれの役割と責任を明記
- 問題発生時の対応方法や費用負担についても規定
スケジュールと進捗管理
- 開発工程ごとの期限を設定
- 定期的な進捗報告や中間成果物の確認方法を規定
検収条件と瑕疵担保責任
- 納品後の検収プロセスを明確に
- 不具合発見時の対応や保証期間を具体的に記載
知的財産権の帰属
- 開発成果物の著作権や特許権の帰属を明確に
- 再利用や転用に関する取り決めも記載
機密情報の取り扱い
- 守秘義務の範囲と期間を明確に
- 情報漏洩時のペナルティも規定
契約変更・解除条件
- 仕様変更時の手続きを明確に
- 中途解約時の条件や精算方法を規定
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